合同会社(LLC)は設立費用やその他必要な手続きが株式会社に比べると簡易なものになっているので、まずは合同会社で事業を始めて将来的に株式会社へ組織変更しようと考える方も多々おられます。
合同会社と株式会社は同じ会社法という枠組みの中に存在する法人形態なので、運営途中に組織形態を変更する事が可能です。
合同会社から株式会社への組織変更は、基本的には総社員の同意があればいつでもできます。組織変更という呼び方をされますが、実際に行うのは「合同会社の解散手続き」と「株式会社の設立手続き」です。
この二つの手続きを同時に申請する事により組織変更を行います。
合同会社から株式会社への組織変更を行うには、まず組織変更計画書を作成する必要があります。そして出来上がった組織変更計画書に社員全員の同意を得る事で手続きを進めていきます。
合同会社から株式会社への組織変更計画書には以下の内容を記載して作成します。
組織変更計画書は総社員の同意を得なければなりません。
ただし総社員の同意については定款で異なる定めを置く事も可能です。
なお、上記の計画書に記載されている効力発生日までに総社員の同意を得ている必要があります。
組織変更計画作成後、合同会社の債権者(売掛債権を有している取引相手等)に組織変更についての異議を述べる機会を与えなければなりません。
これを債権者保護手続と呼びます。
具体的には、株式会社に組織変更をする旨及び1ヶ月をくだらない一定の期間内に異議を述べるべきことを官報に公告し、かつ知れたる債権者には個別に催告するという方法で行います。
定款で定めた公告の方法によっては個別の催告を省略できます。
(公告の方法を日刊新聞紙に掲載する、電子公告などと定めている場合)
この手続に対して異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し、もしくは相当の担保を提供し、もしくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託する必要があります。
ただし組織変更をしても当該債権者を害するおそれがない場合は、この限りではありません。
債権者保護手続が完了すれば続いて登記手続に移ります。
合同会社が組織変更をしたときは本店の所在地においては2週間以内に管轄の法務局へ登記申請を行わなければなりません。支店の所在地においては3週間以内です。
具体的な申請内容は、合同会社の解散登記と株式会社の設立登記を同時に申請する事になります。
通常、法人の設立の場合には登記申請をした日がその法人の設立日となりますが、組織変更で株式会社の設立登記申請をした場合には組織変更計画書に記載された効力発生日がその会社の設立日となります。
登録免許税 6万円必要です。
(組織変更前の合同会社の資本金の額によっては、必要な登録免許税が変わる事があります。)
また債権者保護手続の際の公告費用として約3万円がかかります。
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