会社法が認めている会社には、株式会社と持分会社という二つの種類があります。
この中で合同会社は持分会社に含まれます。
そもそも日本で導入される合同会社の元となったのはアメリカのLLCです。
アメリカのLLCは日本における「法人」に似た性質のものですが、「パススルー課税」といって、LLCの出資者に課税する方法と、株式会社のように法人として事業体に課税する方法かのどちらかを選択することができるようになっています。
しかし日本の合同会社は法人として課税され、アメリカのようにどちらかを選択することはできません。つまり、日本においては株式会社と合同会社では税務上の取り扱いにほとんど違いがないのです。株式会社も合同会社も同じ「法人」として扱われます。
ではそんな合同会社と株式会社は具体的にどのように違うのでしょうか。
株式会社には、大前提として所有と経営の分離という考え方があります。これは出資者である株主と実際に経営を執り行う取締役は別々であるという考え方です。
そして株式会社はある程度大規模な組織として活動をするということが想定されているため、内部での機関や決まり事(ルール)などを設定する際にも、法律によって様々な制限などが設けられています。ある程度の裁量の余地はあるものの、株主や取締役が自由に何でも決められるという訳ではありません。
この点、合同会社では、所有と経営の分離という考え方はありません。また、ある程度柔軟に活動することが想定されているので、株式会社と比較してかなり自由に機関の設置や規則を自分たちで定めることができます。
原則として出資者と経営者が同じであるという考えが前提にある為、出資者(株式会社でいえば株主)によって実際の経営者の行動が制限されたり、意にそぐわない方向へ向かわされるような事も起こりにくいのです。
株式会社と合同会社では設立費用にかなり差がでます。
株式会社 | 合同会社 | |
定款に貼る収入印紙代 | 4万円 | 4万円 |
定款認証手数料 | 5万円 | なし |
定款謄本 | 約2千円 | なし |
法人印鑑代 | 約1万5千円 | 約1万5千円 |
登録免許税 | 15万円 | 6万円 |
合計 | 25万7千円 | 11万5千円 |
この表で見てもらってわかるように、株式会社と合同会社には設立にかかる費用に大きな差があります。
まず、合同会社は公証役場における定款認証が不必要なので、定款認証手数料の約52,000円がいりません。
※ただし電子定款にせずに紙で定款を作成した場合、印紙代4万円を貼り付ける必要があります。
また同じ理由により、公証役場での手続きをする必要がありませんので、合同会社の方が設立に際し労力が少なくて済みます。
次に登記申請の際に必要な登録免許税です。
こちらは株式会社15万円に対し、合同会社6万円となっており、合同会社の方が9万円安くなっています。(ただし資本金の金額によってはここの数値は変わります。)
以上を踏まえて、株式会社と合同会社を比べてみれば、設立費用(法定費用のみ)で約14万円ほど合同会社の方が安くなることがわかります。
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