合同会社(LLC)は株式会社と同じように一定のルールの元にですが、自由に事業目的を定める事ができます。
「事業目的」は定款に記載される項目のひとつで、その会社が一体何のビジネスをするのかを明確にしたものです。基本的には定款に記載されていない事業をその会社が行う事ができません。会社が設立してから運営していく中で、新しい事業目的を後から追加する事は可能ですが、事業目的の追加には費用もかかります(印紙代だけで3万円)。
事業目的に記載したからといって、必ずその事業をしなければならないというルールはありません。その為、設立後すぐにする予定がない事業であっても将来的に手掛けそうであれば、予め会社を設立する時点で事業目的に含めておく方がいいと言えます。
以前の会社法では定款に記載する事業目的には一定の審査基準がありました。その当時満たさなければいけないとされていた事業目的の要件は次の4つです。
しかし会社法の改正以後、「営利性」「適法性」「明確性」については残されましたが、「具体性」については求められなくなりました。「明確性」の基準もかなり緩和されており、「日本語として意味がわかればよい」といったぐらいの判断基準になっています。
そうは言っても、最近使われ始めた言葉や外来語、一部の業界のみで使われている言葉などは「明確性を満たしていない」と判断される場合がありますので、そこは注意が必要です。
また「具体性」の要件がなくなった事により、従来はダメだった漠然と広範囲のものを指す事業目的でも登記が可能となっています。
例)
などなど。
しかしこれはあくまで法律上(手続き上)の話です。
会社の事業目的は登記簿謄本に記載されます。
そしてこの登記簿謄本は誰でも見る事が可能であり、大手の取引先や銀行などは必ずと言っていいほど目を通します。
その際にあまり漠然とした事業目的であった場合、不信感を抱かれ取引や融資などにおいて不利になる可能性もあります。
その為、審査要件から外れているとは言ってもある程度までは具体的な事業目的を記載しておく方が良いと思います。
事業目的に定めた内容に応じてその会社は事業を営む事ができますが、書いてあること全てが無条件にできるという訳ではありません。
事業の中には定款に記載するだけではなく、それに加えて管轄の各役所より許認可を受けなければ営業できないものもたくさんあります。
これらの許認可を受ける為には、管轄の役所が指定した文言通りに事業目的を記載しておかなければならない事がほとんどです。許認可を取得する予定であるならば、法務局だけの確認ではなく、事前にそれぞれの監督官庁に確認をしておく必要があります。
もちろん後から事業目的を追加する事で対応も可能ですが、上述したように事業目的の変更手続きには手間もお金もかかりますので、設立時の段階で問題ないように調べてから記載しておくに越した事はありません。
下記は営業許認可が必要な業種の一例です。
営業の種類 | 区分 | 受付窓口 |
風俗営業 | 許可 | 警察署 |
宅地建物取引業 | 免許 | 都道府県庁 |
建設業 | 許可 | 都道府県庁 |
酒類販売業 | 免許 | 税務署 |
人材派遣業 | 許可 | 労働局 |
貸駐車場 | 届出 | 都道府県庁 |
旅館業 | 許可 | 保健所 |
一般旅行業 | 登録 | 運輸局 |
クリーニング業 | 届出 | 保健所 |
美容院・理容院 | 届出 | 保健所 |
警備業 | 認定 | 警察署 |
魚介類販売業 | 許可 | 保健所 |
食肉販売業 | 許可 | 保健所 |
菓子製造業 | 許可 | 保健所 |
喫茶店業務 | 許可 | 保健所 |
飲食店業務 | 許可 | 保健所 |
古物商 | 許可 | 警察署 |
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