基本的な合同会社の設立の手続きは、社員となろうとする者1名以上が定款を作成し、定款に署名または記名押印を行ったのち出資を履行し、本店の所在地で設立の登記をすることによって成立します。
具体的な流れは以下のようになります。
合同会社を設立する前に、まずは一体どんな会社にするのかという「基本事項」を決定しておく必要があります。これは「商号(会社の名前)」、「事業目的」、「本店所在地(会社の住所)」、「事業年度(会計年度)」、「出資者は誰か」など、会社設立にあたっての基本的な内容です。
ここで決めた内容に沿って、必要書類の作成や手続きを進めていく事になります。
現在の会社法では、同一の住所(会社の本店所在地)で同一の商号(会社の名前)でない限り、設立の登記は可能です。昔に比べると商号の規定はかなり緩和されています。
しかし万が一の場合があることや、すでに存在する似たような名前の商号を使ってしまうと登記とは関係のない部分でトラブルになる可能性もありますので、事前に商号の調査をしておく事をお勧めします。
商号調査は本店所在地を管轄する法務局にて行います。
商号調査が終わり、商号が確定すれば法人用の実印(会社代表印)を作成しておきましょう。
「定款」とは合同会社の基本的なことを決めて明文化したものであり、その会社にとっての根本的なルールとなります。
また株式会社と違い、合同会社は内部の組織や構成をかなり自由に定める事ができますが、これらは全て定款に記載する事によって成立します。その為合同会社の設立の流れの中で、定款の作成作業は非常に重要な部分となります。
定款には「絶対的記載事項」と呼ばれる「それを掲載しておかなければ定款自体が無効になってしまう」項目があります。これらは忘れずに記載しておきましょう。
合同会社の絶対的記載事項
最低限これらの項目を記載しておけば、定款は成り立ちます。
しかしその他「相対的記載事項」と呼ばれる「定款に記載する事によって効力が発生する」項目などもあります。さらに記載していなくても問題はありませんが、定款に記載して明確化しておく事によって運営がスムーズになる「任意的記載事項」と呼ばれる項目もあります。
会社の内情や計画に応じて必要なものを随時追加していきつつ、定款を完成させます。
また、合同会社の定款は公証役場で認証する必要はありませんが、紙で作成した場合には収入印紙4万円を貼り付けておかなければなりません。
定款の作成が終了すれば資本金の払い込み(出資金の払い込み)を行います。また現金だけでなく現物出資がある場合には、その財産の全部もしくは一部の給付の履行を行います。
現金のみの場合、出資者の口座に通帳に名前が出る「振込」によって払い込みます。出資者が複数名いる場合には代表者の個人口座にそれぞれが別々に振り込みを行います。
最近では、法務局によっては「振込」ではなく「預け入れ」でも可としているところもありますが、場所によってはそれではダメな場合もありますので、余計なトラブルを避けるのであれば、たとえ自分の口座であったとしても「振込」で入金する方が確実です。
出資者全員の振込が終了したら、通帳の表紙・支店名の記載されたページ・振込の明細が載っているページ、のそれぞれをコピーします。
その後「払込証明書」という書類を作成し、通帳のコピーを合わせてホチキス等で留め、全ページに会社代表印で契印します。
このひとまとまりの書類をもって「資本金の払い込みを証明する書類」とします。
定款と資本金の払込証明書ができあがれば、それ以外の必要書類と合同会社の登記申請書を作成し、本店所在地を管轄する法務局に設立登記の申請を行います。
このときに登録免許税として収入印紙6万円(設立時の資本金の額の1000分の7が6万円に満たない時)が必要となります。
法務局へ設立登記の申請をした日が「会社の設立日」となります。
登記終了までの時間は法務局によって違いがあり、翌日には完了する場合もあれば1週間ほどかかる事もあります。もし補正がある場合はこの間に法務局より連絡があります。
決められた期間までに何も連絡がなければ設立の登記は終了です。
法務局での登記が完了すれば、合同会社の設立手続き自体は終了です。
ただしその後、会社の内容に応じて税務関係・労務関係等の各役所への届け出が必要となります。
一般的な会社設立後の主な届け出先
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