設立費用を除けば、設立に必要な人数や最低資本金など、株式会社も合同会社もかなり似た部分があります。その為、実際会社を設立しようとした際に、どちらの会社形態を選択すればいいのか迷われる所だと思います。
しかし詳しく見てみると、株式会社と合同会社には、設立費用以外での違いはいくつもあります。
株式会社では、決算期毎に財務情報を公表しなければなりません。
一般的には、「官報」に掲載するという方法でこの決算公告をする、としている会社が多いです。「官報」に掲載する場合には、1回ごとに数万円の費用がかかります。
毎年決算公告は必ずしなければなりませんので、中小の企業にとっては、かなりこの費用の負担は厳しいものとなります。
しかし、合同会社にはこの決算公告の義務はありません。したがって公告の掲載費用もかからない事になります。
株式会社の場合は、原則として取締役の任期は2年です。特定の条件があればこの任期を10年まで伸ばすことができるものの、それでも無期限ではありません。
任期が終われば、「退任」の登記か、同じ人がふたたび取締役を続ける場合でも「重任」の登記と呼ばれる役員変更登記をしなければなりません。同じ人がずっと役員を続ける場合であっても、任期がくる毎に役員変更登記をする必要があるのです。
この場合、変更登記をするたびに登録免許税といって登記する為の費用がかかります。また書類の作成や登記の代行を専門家に依頼すれば、その分の料金も必要です。
合同会社の場合、この役員の任期を定める必要がありません。つまりかつての有限会社と同じく、同じ人間がずっと役員を続けていくということが可能なのです。定款に役員の任期を定めない限りは、この任期切れによる役員変更登記をする必要がありませんので、手間暇や費用を節約することが出来ます。
もちろん逆に定款に定める事により、任意で役員の任期を設定する事も可能です。
株式会社では出資額に応じて利益を配分しなければなりません。
会社の経営に一切携わっていなかったとしても出資の金額が高ければ、その割合に応じた配分を受け取ることが出来ます。
しかし割合に応じた配分である以上、経営の側面で会社に貢献したとしても、出資の割合が少なければ、出資額に見合った配分を受けることしかできません。
それに対し合同会社では、出資額に縛られずに利益配当の割合を決める事が出来ます。たとえ会社に対しての出資が少ない場合でも、技術やノウハウなどの面で会社に貢献してくれた人の利益配分を増やすことができるのです。
具体的な配分の比率に関しては定款に定める事により有効となります。
株式会社では出資額に応じて、株主総会の議決権を持ちます。
基本は1株=1議決権です。
株式会社は多く出資をしている人の持ち物であり、その運営等について大株主の意見が通りやすい仕組みになっています。
合同会社では、議決権は出資額とは関係がなく、社員一人が1議決権を持ちます。
つまり、1000万円出資している人も1万円しか出資していない人も出資をしていれば対等に扱われるということになる訳です。そして原則として全出資者の過半数の同意により、会社の運営についての意思決定が行われます。
主だったものでこのような違いが株式会社と合同会社には存在します。
また合同会社は後から株式会社に組織変更することも可能です。
そのあたりも踏まえて、どちらの会社組織を選ぶのかを考えてみてもいいでしょう。
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